原酒造の創始者である原幸太郎は、元々は鍋作りと修理を請け負う鋳物師(いもじ)を生業としていました。柏崎は日本海に面し、江戸時代初期から製塩が盛んに行われ、海水を煮る鍋の需要が高かったため、幸太郎の家業も繁盛していました。

幸太郎は鋳物師屋の嫡男として生まれましたが、その家督を妹に譲り、新たに酒造業を始めることを決意しました。文化11年(1814年)、原酒造店が誕生し、彼の新たな挑戦が始まりました。鍋鋳物師から酒造業へ転身した原家は、屋号を「なべや」とし、「なべやさん」の愛称で親しまれ、現在でも蔵の壁面に刻まれた「まるな」の文字にその名残を感じることができます。

港町として栄えた柏崎で原酒造店は順調に繁盛し、明治時代には柏崎を代表する銘醸へと成長しました。しかし、その成功の先には多くの困難が待ち受けていました。柏崎は名峰米山、黒姫山、八石山の柏崎刈羽三山に囲まれ、日本海に面した風光明媚な地です。四季折々の美しい自然景観が広がり、酒造りに適した環境が整っています。特に冬の厳しい寒さは、酒造りにおける低温発酵と長期熟成に大きな役割を果たしています。

柏崎は江戸時代に北陸街道の宿場町として、また千石船による海運の街として栄えました。その文化11年(1814年)に蔵は創業しました。昭和9年の全国酒類品評会で連続3回の入賞、平成17年の関東信越国税局の第76回酒類鑑評会で首席第一位受賞など、数々の賞を受賞しています。また、昭和47年には日中国交正常化調印の際、北京で催された晩餐会の乾杯の酒として使用されました。

特筆すべきは、これらの輝かしい歴史が多くの苦難を乗り越えて築かれてきたということです。明治44年(1911年)の柏崎大火では蔵が全焼しました。当時、初代柏崎市長であった四代目・原吉郎は柏崎市と蔵の復興を成し遂げました。昭和に入ってからは新潟地震、中越地震、そして平成19年7月16日の中越沖地震では蔵の7割が崩壊する災禍に見舞われました。しかし、原酒造はこれらの苦境から完全復興を果たし、力強く立ち上がりました。この不屈の精神が、200年の伝統を築いてきました。

仕込み水には米山山系の清らかな伏流水を使用しています。このまろやかな水がサラリとしたやわらかな酒質を生み、「越の誉」の造りの原点となります。原料米は柏崎近郊の米農家と契約した《五百万石》《たかね錦》などの酒造好適米を使用し、目に見える原料米で醸すことが「越の誉」の旨みや余韻を生みます。平成20年には新しい新潟の酒造好適米の共同研究に参画し、《越神楽》を発表するなど、より原料に帰着した生産体制を構築しています。

原酒造は、清冽な水と良質な地元米に恵まれ、冬の厳しい寒さが地の利となり、越後杜氏200年の伝統の技が酒に命を与えています。創業から200年を超える歴史を持つ原酒造は、これからも地域の自然と共に歩みながら、伝統の技術を守りつつ、新たな挑戦を続けていきます。

近年の受賞歴

2023年
   

全国新酒鑑評会にて入賞。
IWC(インターナショナルワインチャレンジ)大吟醸の部にて銅メダル受賞。
ワイングラスでおいしい日本酒アワードにてスパークリングSAKE部門「あわっしゅ」が金賞を受賞。
2022年
    
全国新酒鑑評会にて入賞。
関東信越国税局酒類鑑評会にて吟醸酒の部 優秀賞を受賞。
IWC(インターナショナルワインチャレンジ)純米酒の部にて銅賞を受賞。
ワイングラスでおいしい日本酒アワードにてプレミアム純米部門「彩」が金賞を受賞。
2021年
    
全国新酒鑑評会にて金賞を入賞。
関東信越国税局酒類鑑評会にて純米酒の部 特別賞を受賞。
ワイングラスでおいしい日本酒アワードにてメイン部門「特別純米 彩」が金賞を受賞。

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