お酒とは?お酒の定義を説明|各国による定義の違いや時代による区分の変化を解説

お酒は、世界中の各国によって法律で定められています。

 

日本の酒税法では課税上の分類と原料や製造による分類でお酒の種類を区分しているんですね。この区分は各国、時代によって違います。どうしてこんなにも違うのでしょうか。

 

それには税金という国の政策が大きく関係しているからです。つまり国や時代によって税金の考え方が違うからなんです。今回は、国で定める酒税法とお酒のについて説明していきます。

お酒の定義

日本では、国税庁の酒税課というところが酒税に関することを取りまとめています。国税庁の資料を見ると「酒類とは酒税法(昭和28年法律第6号)第2条第1項に規定する酒類をいう」と書かれています。

具体的にはこう書かれています。

(酒類の定義及び種類) 第二条 この法律において「酒類」とは、アルコール分一度以上の飲料(うすめて飲料とすることができるものを含み、アルコール専売法(昭和十二年法律第三十二号)の規定の適用を受けるアルコールを除く。)をいう。 
2 酒類は、清酒、合成清酒、濁酒、焼ちゆう、味りん、白酒、ビール、果実酒及び雑酒の九種類に分類する。

出典:国税庁ホームページ

日本では、酒類はアルコール分1%以上の飲み物のことを言います。

 

一方で海外の定義はどうなっているのでしょうか?アメリカの法律では、1919年に、「酔いをもたらす飲料として0.5%以上アルコールを含有しているもの」が定義されています。EUでは1.2%、イギリスは0.5%となっているようです。

 

各国の法律の違いがおわかりでしょうか。バラバラなんですよね。

 

また時代の違いでみると昭和28年の資料を見て面白いのは、お酒の種類です。

半世紀以上前の国内のお酒の種類をみると日本酒、焼酎、ビール、果実酒(ワイン)はあるけど、ウイスキーやスピリッツ、リキュール等が見当たりませんよね。当時は9種類に分類されていましたが、現在では後ほど説明しますが17品目に分類されています。

 

当時、戦後なので海外の酒類が輸入されていたなかったり、製造されていたなかったからなんです。

酒税法によるお酒の種類

現在の種類は、この酒税法から派生して、酒類を課税上の分類として4酒類に分類しています。

 

種類 内訳(酒税法第3条第3号から第6号まで)
発泡性酒類 ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類(ビール及び発泡酒以外の酒類のうちアルコール分が10度未満で発泡性を有するもの)
醸造酒類(注) 清酒、果実酒、その他の醸造酒
蒸留酒類(注) 連続式蒸溜しょうちゅう、単式蒸溜しょうちゅう、ウイスキー、ブランデー、原料用アルコール、スピリッツ
混成酒類(注) 合成清酒、みりん、甘味果実酒、リキュール、粉末酒、雑酒

(注)その他の発泡性酒類に該当するものは除かれます。引用:国税局酒税法における酒類の分類及び定義

 

豆知識

上記の表は、課税上で分類していますが、製造法でいうとビール、清酒、果実酒は醸造酒になります。最近は発泡酒や新ジャンルなどが開発されたので課税上の面から上記の分類になります。酒税法の改正前は醸造酒、蒸留酒、混成酒の3酒類だけだったんですね。

製造法でお酒の種類をご覧になりたい方はこちらの記事も御覧ください。

 

簡単に説明すると

ポイント
  • 発泡性酒類とはビールのように麦を発酵させて炭酸を含んだお酒
  • 醸造酒類とは日本やワインのように米やぶどうを発酵させたお酒
  • 蒸留酒類とはウイスキーや焼酎のように麦や芋を発酵させ蒸留したお酒
  • 混成酒類とは上記のお酒とお酒を混ぜたお酒、上記のお酒に糖類を混ぜたお酒、上記以外の規格のお酒

酒税法によるお酒の品目

戦後は清酒、合成清酒、濁酒、焼ちゆう、味りん、白酒、ビール、果実酒及び雑酒の9種類でしたが、現在は17品目に区分されています。

 

当時と比べると、ウイスキー、ブランデー、スピリッツなどの輸入系が増えました。ビール系は技術によって発泡酒やその他の醸造酒が増えたのがわかります。

 

また、焼酎も蒸留器の発達により連続式と単式が追加されています。昭和の後期には焼酎甲類、焼酎乙類といわれていたので甲乙といわれるとピンと来る方も多いと思います。

 

品目 定 義 の 概 要(酒税法第3条第7号から第23号まで)
清酒
  • 米、米こうじ、水を原料として発酵させてこしたもの(アルコール分が22度未満のもの)
  • 米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品を原料として発酵させてこしたもの(アルコール分が22度未満のもの)
合成清酒
  • アルコール、しょうちゅう又は清酒とぶどう糖その他政令で定める物品を原料として製造した酒類で清酒に類似するもの(アルコール分が16度未満でエキス分が5度以上等のもの)
連続式蒸溜焼酎
  • アルコール含有物を連続式蒸溜機により蒸溜したもの(アルコール分が36度未満のもの)
単式蒸溜焼酎
  • アルコール含有物を連続式蒸溜機以外の蒸溜機により蒸溜したもの(アルコール分が45度以下のもの)
みりん
  • 米、米こうじにしょうちゅう又はアルコール、その他政令で定める物品を加えてこしたもの(アルコール分が15度未満でエキス分が40度以上等のもの)
ビール
  • 麦芽、ホップ、水を原料として発酵させたもの(アルコール分が20度未満のもの)
  • 麦芽、ホップ、水及び麦その他政令で定める物品を原料として発酵させたもの(アルコール分が20度未満のもの)
果実酒
  • 果実を原料として発酵させたもの(アルコール分が20度未満のもの)
  • 果実に糖類を加えて発酵させたもの(アルコール分が15度未満のもの)
甘味果実酒
  • 果実酒に糖類、ブランデー等を混和したもの
ウイスキー
  • 発芽させた穀類、水を原料として糖化させて発酵させたアルコール含有物を蒸溜したもの
ブランデー
  • 果実、水を原料として発酵させたアルコール含有物を蒸溜したもの
原料用アルコール
  • アルコール含有物を蒸溜したもの(アルコール分が45度を超えるもの)
発泡酒
  • 麦芽又は麦を原料の一部とした発泡性を有するもの(アルコール分が20度未満のもの)
その他の醸造酒
  • 穀類、糖類等を原料として発酵させたもの(アルコール分が20度未満でエキス分が2度以上等のもの)
スピリッツ
  • 上記のいずれにも該当しない酒類でエキス分が2度未満のもの
リキュール
  • 酒類と糖類等を原料とした酒類でエキス分が2度以上のもの
粉末酒
  • 溶解してアルコール分1度以上の飲料とすることができる粉末状のもの
雑酒
  • 上記のいずれにも該当しない酒類

引用:国税局酒税法における酒類の分類及び定義

まとめ

お酒を酒税法からみてまとめてみました。

お酒とは、アルコール分1%以上の飲み物のことを言います。

酒類を課税上の分類として4酒類に分類しています。

  • 発泡性酒類
  • 醸造酒類
  • 蒸留酒類
  • 混成酒類

そして、原料や製造方法から17品目に区分しています。

  • 清酒
  • 合成清酒
  • 連続式蒸留焼酎
  • 単式蒸留焼酎
  • みりん
  • ビール
  • 果実酒
  • 甘味果実酒
  • ウイスキー
  • ブランデー
  • 原料用アルコール
  • 発泡酒
  • その他の醸造酒
  • スピリッツ
  • リキュール
  • 粉末酒
  • 雑酒

いかがでしょうか?大きくお酒の種類がイメージできたと思います。このイメージを持ちながら、お酒を飲むと楽しみもさらに広がると思います。

今回は、酒税法から見たお酒の分類を一覧でまとめてみましたが、製造法から見たお酒の種類も一覧でわかりやすく解説したページも参考にしてください。

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