六代目百合は1銘柄主義
六代目百合の酒蔵は1種類の原酒のみを造る希少な酒蔵になります。ひとつの銘柄だけなので造る工程はシンプルですが、消費者の多様性が求められる時代にあくまで逆光する形で毎年酒造りに励んでいます。視点を変えると伝統工芸のような酒蔵かもしれません。同じ種類の原料、同じ設備、同じ製造法といった毎日の積み重ねが味わいに歴史や年輪を吹き込んでいるかのようにさえ感じる酒蔵です。蒸留して原酒ができると「風に吹かれて」。その原酒を加水して「新酒」。ひと月ほど熟成させて「六代目百合」の25度や35度が誕生します。
もはや科学者の領域
造りの特徴は、鹿児島県産のさつま芋を使った芋焼酎づくりです。黒麹菌で米麹を仕込み二次仕込みで蒸した芋と同じタンクに入れ発酵させます。蔵内のなかに昔から存在する住みつき酵母も利用しています。なので蔵に入るときの制限は厳重です。例えば朝に納豆を食べた人が蔵の中に入ったりすると納豆菌が蔵の中に繁殖する恐れがあるからです。そのぐらい真剣に酒蔵の中を管理されています。蔵を離れても自宅には発酵過程の温度管理などのデーターがひとめでわかるよう数値でチェックします。ほとんど科学者の領域です。だから味が安定して美味しいのです。
甑島の自然環境から生まれる味
味の背景にあるのは、鹿児島県甑島の環境だともいえます。本土から1時間も離れた周りは東シナ海に近い海に覆われています。自然豊富は魚介類が穫れるのでその料理にあった味わいになるのは当たり前。また甑島は恵まれた海がありますが、一方で養殖産業も盛んです。伊勢海老やウニ、カンパチなど一大産業です。最近は上甑島、下甑島に道路がつながってアクセスがよくなったので観光客がどっと押し寄せいています。話はそれますがテレビドラマのドクターコトーの題材になった場所です。そのような環境の中での焼酎造りなので色々な料理やシーンにあう味わいに仕上がっています。