六根シリーズ 全国新酒鑑評会の金賞を受賞
六根シリーズは全国新酒鑑評会の金賞を受賞し、注目を集めた。そのきっかけは、昔ながらの杜氏に任せた酒造りから自社での酒造りへと大きく舵を切ったことにある。それまでは季節ごとにベテランの南部杜氏を招聘していた。杜氏は2年おきに変わり、仕込み時期の冬場しかいないため夏場は手薄な状態だったという。蔵としてはこうした状態を変えるべく、2019年から社員による酒造りに向けて動き出す。杜氏として白羽の矢をたてたのが合田孝(ごうだたかし)さんだった。
地元岩木山の湧き水
地元岩木山の湧き水を使っていることにある。この伏流水によって軟らかく味わい深い酒質になる。米を丁寧に磨き、全量アルコール添加しない純米酒で、無濾過瓶貯蔵で出荷するのもこだわっている。
酒蔵の歴史を大切にした造り
歴史がある蔵だけに建物や設備、道具は昔のものが多く残っている松緑酒造。それを大事に手入れし、存続させることで、日本酒の文化や歴史を伝えていくことを蔵の使命としている。合田さんは入社後、取り組んだのはこの歴史を生かしながらも、仕事がしやすい環境に整え、設備のメンテナンスや蔵の不具合を直すことだった。古いことにはまた良い側面もある。機械化されていないので、麹や酒母、もろみづくりなど手作業が多い。また、規模も小さいため作業工程も分業化されておらず、一貫して作業に携わることができる。それゆえに酒造りにかかわる時間も多く、最初から最後の出荷まで見届けることができるそうだ。