令和2年7月4日豪雨災害で3mの浸水
みなさん、記憶に新しいとは思いますが、令和2年7月4日熊本県の人吉球磨地区にて豪雨による災害が発生しました。
大和一酒造さんは、球磨川の右側に曲がったところと万江川との間に立地しているので、ちょうど川の水の氾濫が大きく非常に大きな被害を受けました。
上の画像は、私が撮影したもので少し見にくくて申し訳ありません。大和一酒造の蔵に展示してある写真を撮影したものです。
蔵の前の2階から撮影されたもので、完全に1階部分が浸水しているのがお分かりいただけると思います。製造場はさらにこの蔵の後ろ側の一段低いところなので甚大な被害に遭われたのです。
訪問させていただいたのは豪雨災害から2年後。社長の思いで製造場の復興を最優先したため、酒蔵の玄関である店舗や事務所の建物は下の画像のように、ようやく内装工事が入った状態でした。
この部分が、完全に水に漬かっていたので全て一からの工事になっています。
温泉焼酎の誕生
大和一酒造さんは、熊本県人吉市の地で明治31年に岡田千松が創業します。戦後まもない昭和27年に下田伯熊が経営権を取得し本格的な焼酎づくりが始まります。
昭和48年、現会長である下田猛が代表社員となり、大和一酒造の成長が始まりました。
下田猛は、美味しい酒だけでなく、体に負担の少ない、健康に役立つような商品を造りたい思いがありました。そして人吉地区には温泉という恵まれた環境があることに着目します。
そこからアルカリ性の温泉水で焼酎を造る商品づくりがスタートしたのです。途中何度も挫折しそうになりましが、10年の歳月をもって昭和61年、全工程を温泉水で仕込む温泉焼酎を完成することができたのです。
アルカリ性の焼酎とは?
上の図は、大和一酒造さんが掲載するお酒のアルカリ性を確認できるpH数値をグラフにしたものです。こうやってみると温泉焼酎が弱アルカリ性だと確認できますね。
温泉焼酎夢の特選では、pH8.5になります。製造の仕込みから割水まで弱アルカリ性の温泉水を使用し、その結果、アルカリ性の焼酎が出来上がるのです。
実は、人間の体は、呼吸や腎臓などの働きによって、pH7.4の弱アルカリ性に保つようになるらしいです。温泉焼酎以外のほとんどのお酒は、酸性のアルコールになります。また肉や魚もほとんどが酸性食品。大豆製品、野菜、果物、海藻などがアルカリ性食品となります。
大和一酒造の取り組む姿勢
大和一酒造には、減圧蒸留と常圧蒸留の2つの蒸留器を所有しています。上の画像は減圧蒸留器で温泉焼酎もこちらの蒸留器で造られています。焼酎造りの詳しいページはコチラです。
特長としては、スッキリした飲み口を求め減圧蒸留を選択します。反対に原料の風味を生かしたい場合は、常圧蒸留になります。下の画像の緑色や手前にある茶色の蒸留器が常圧蒸留機です。
集中豪雨の際は、画像下の仕込みタンクが浮き上がるほどの水が大量に押し寄せてきました。仕込みタンクも新たに木材を張り付け蔵固有の味わいや風味の原動力になるようにと一新しました。
まとめ
大和一酒造さんはおっしゃいます。
この建物の半分が浸水するといった大惨事でしたが、今は、製造場から稼働させて商品づくりに没頭する日々です。来客用の販売所も現在工事中ですが、令和5年をめどに工事を急ピッチで進めているところです。
熊本市内や鹿児島からの線路の運休めどが今だ立たないですが、早い復興を祈り人吉球磨地区の焼酎と温泉を味わいたいものです。
会社名 | 合資会社 大和一酒造元 |
代表者 | 下田文仁 |
住所 | 熊本県人吉市下林町2144番地 |
電話 | 0966-22-2610 |
ホームページ | https://www.yamato1.com/ |
銘柄 | 温泉焼酎 夢 |