焼酎と聞くとロックや水割り・お湯割りが思い浮かびますが、焼酎にはさまざまな飲み方・作り方があり、基本的な作り方を知らない方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、甲類焼酎・本格焼酎の基本の飲み方から変わった飲み方をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみて下さいね。
甲類焼酎と本格焼酎の違いによる飲み方
甲類焼酎と本格焼酎の大きな違いは「連続式蒸留」「単式蒸留」にあります。焼酎の詳しい種類についてはこちらもご覧ください。
甲類焼酎:何度も蒸留を繰り返すことで癖がなく無味無臭、高いアルコール度数の焼酎ができる
本格焼酎:一度だけ蒸留することで素材本来の香りと味が楽しめる。40~45度程度の焼酎ができる
甲類焼酎の場合、何度も蒸留することで素材本来の香りは消えるものの、癖がないため果実やジュース・炭酸で割ることでいろいろな飲み方が楽しめます。
本格焼酎は麦や米・芋などの素材本来の風味を楽しむため、そのまま飲むか水割り・お湯割りなどのできるだけシンプルな飲み方の方が、美味しくいただけます。
「だれやめ」とは?
「だれやめ」何とも聞き慣れない言葉ですが、これは宮崎・鹿児島などの方言で、だれは「疲れ」、やめは「取り除く」という意味。
「1日の溜まった疲れを焼酎を飲んで癒すこと」
上手い焼酎を飲んで1日の疲れを癒し、明日に備える…日々仕事や生活に追われる現代人にとって、ピッタリな言葉ですよね。
焼酎の美味しい飲み方の基本
甲類焼酎、本格焼酎には美味しく飲める共通の飲み方があります。
焼酎初心者が焼酎になじむのにまず試して欲しいのは、自分に合った飲み方を探すこと。焼酎の美味しい飲み方を知り、自分に合う飲み方を探してみましょう。
ロック
大きめのグラスに氷を入れ焼酎を注ぐだけのシンプルな作り方ですが、甲類焼酎・本格焼酎共に本来の風味を感じられる方法です。
焼酎ロックの基本的な作り方は、
1.グラスに大きめの氷を入れ、マドラー(スプーンなど)でかき混ぜる
2.かき混ぜることで氷が溶けたら、中の水を捨てる
3.氷に焼酎がまんべんなくかかるよう焼酎をかけ、グラスの半分になるまで入れる
4.好みによってかき混ぜ焼酎と氷をなじませる、レモンやライムを入れるのもOK
美味しく作るコツは、大きめのグラスを用意しコンビニやスーパーで売られているロックアイスがおススメ。氷に空気が入っていないことで溶けにくく、カルキも入っていないため余計な香りがなく焼酎のうま味・香りを感じられます。
家庭で氷を作る場合には、氷に空気が入らないようにフタ付きの製氷皿を使いましょう。焼酎をロックで飲むメリットは、グラスの中で少しずつ氷が溶け少しずつ混ざり合うことで、最初はキリッと引き締まった味、氷が溶けるにつれサラッとした飲みやすい味へと変化するさまを楽しめます。
基本の比率としては、氷を入れたグラスの中に焼酎を半分程度入れるやり方ですが、お好みの割合でも結構ですよ。
水割り
水割りは甲類・乙類焼酎を美味しく飲める共通の方法です。
美味しい水割りの作り方は、
1.グラスに大きめの氷を8割程度入れる
2.マドラーなどで氷を回し、グラスを冷やす
3.焼酎を氷にまんべんなくかけつつグラスに注ぎ、水をゆっくり注ぎ入れる
4.マドラーで3回混ぜ完成
焼酎の水割りを作る際、焼酎と水、どちらを先に入れてもいいのでは?と思うかもしれませんが、焼酎を先に入れた方が美味しく仕上がります。
その理由は、焼酎を先に入れ水を注ぐことで、水が下に沈むことで焼酎と自然に混ざり合うため。焼酎を入れる水は水道水より軟水のミネラルウォーターの方が美味しく仕上がります。
焼酎の水割りの美味しい割合は、焼酎6割:水4割と言われていますが、健康に気を使っているなら焼酎5割:水5割で作るのもおススメ。焼酎・水共に冷やしておくと、焼酎が水っぽくなるのを防げます。
お湯割り
お湯割りは甲類焼酎、素材の香りを楽しめる本格焼酎共に適しています。
まず基本的な作り方としては、
1.150~200cc程度が入る器を用意
2.70度前後のお湯を器に入れ、焼酎を注いで完成
お湯割りを作る基本の比率としては、焼酎6割:お湯4割(ロクヨン)、焼酎5割:お湯5というのが一般的な割合。
無味無臭な甲類焼酎のお湯割りなら、梅干しやはちみつ・レモン果汁を入れるアレンジ、お湯の代わりに温めたウーロン茶・緑茶で割るのもおススメです。
焼酎のお湯割りにはさまざまな説があり、焼酎が先!のように唱える方もいますが、焼酎の香りを楽しみたいなら断然焼酎をあとに入れた方が美味しくいただけます。これに関しては、好みがありますので、いろいろとお試しください。
なお70度以上のお湯でお湯割りを作ってしまうと、焼酎が気化し香りが消えてしまので注意しましょう。温度が低くい場合も香りがなく味もぼんやりしするため、仕上げた時40度程度になるよう作るよう心がけて下さいね。
炭酸割り
甲類焼酎・本格焼酎共に美味しくいただけるのも、炭酸割りの大きな特徴。焼酎好きの中には「炭酸で割るなんて邪道だ」と言う方もいますが、炭酸割りは気軽に焼酎を楽しむにはピッタリ。
炭酸割りの美味しい作り方は、
1.冷えたグラスに小さい氷(ロックアイス)を入れる
2.焼酎を氷にかかるようゆっくり注ぎ、マドラーで焼酎と氷をなじませる
3.冷やした炭酸をグラスの縁にそってゆっくり注ぎ、マドラーで1回混ぜれば完成
焼酎1割:炭酸2割、もしくは焼酎1割:3割程度、焼酎が濃いかな?と感じたら炭酸を足し調節しましょう。ちょっと味を変えたいなら、果汁や梅干し・レモンを入れるアレンジもいいですよね。
使う炭酸は、焼酎にも使われている水質に合わせた方が馴染みが良いため、できれば軟水の炭酸を使って下さい。
燗
燗(かん)と聞くとお酒をイメージしますが、鹿児島や宮崎では昔から焼酎を「燗酒(かんざけ)」として親しまれている伝統的な飲み方です。
焼酎で作る燗のつけ方は、
1.徳利(お銚子)の中に焼酎を入れる
2.注ぎ口にアルミやラップをかぶせる
3.徳利が浸かる7~8分目まで鍋に水を張り火にかけ、沸騰後火を止めた後徳利を入れる
4.3~5分後徳利を取り出し完成
香りを十分に楽しむなら3分で約40~45度なる「ぬる燗」 引き締まった香りが好みなら、4分で約45~50度になる「上燗」、焼酎の辛口でキレの良い味を楽しむなら5分で約50~55度のになる「熱燗」など、好みによって漬ける分数を変えてみましょう。
ただし香りを楽しみたいなら、ゆるい香りになる30度程度も「日向燗」もおススメです。焼酎の熱燗は体温に近い温度のため胃腸に優しい一方、酔いが早く回りやすいため注意しながら楽しみましょう。
本格焼酎の美味しい飲み方
本格焼酎の定番の飲み方といえばロックや水割りが定番ですが、とても手軽な方法として「前割り」という美味しく飲める方法があるのをご存じでしょうか?
やり方さえ覚えてしまえば誰でも手軽に作れますので、ぜひとも覚えて下さいね。
前割り
前割りとは、事前に焼酎を自分好みの濃さに水で割り、数日間寝かせておく方法です。
一見水割りと何か違うの?と感じますが、あらかじめ焼酎を水で割っておくことで焼酎と水がゆっくりと混じり合い、まろやかな味わいになります。
作り方はいたって簡単。
1.焼酎サーバー、もしくはペットボトルなどの容器を用意
2.好みの焼酎(25度)と水を用意
3.焼酎6割・水4割、もしくは焼酎5割・水5割を容器の中でよく混ぜ合わせる
4.焼酎を冷蔵庫で5日~1週間程度寝かせ完成
前割り焼酎は濃いめが好きなら少し濃いめ、酔いやすいなら薄めに作るのがおススメ。割水に使う水は水道水ではなく、多くの焼酎にも使われている軟水のミネラルウォーターを使いましょう。そうすればより口当たりの良い水割り焼酎になります。
前割り焼酎はそのまま飲んでもかまいません。果汁(ジュース)・炭酸、そして熱燗で飲んだりと、自分好みの飲み方を試してみましょう。
黒千代香(黒じょか)
前割り焼酎はさまざまな飲み方ができますが、おススメの飲み方として「黒千代香(黒じょが)」があります。千代香とは鹿児島の方言で土瓶や鉄瓶を指す方言で、昔から伝わる土瓶(陶磁器)のこと。
芋焼酎大国である鹿児島で広がった丸く平べったい土瓶で、使い込むほど焼酎が土瓶に浸透し美味しくなることから、多くの焼酎ファンに愛されています。
黒千代香の使い方は、
1.事前に前割りした焼酎を作っておく
2.黒千代香に前割りした芋焼酎を入れる
3.コンロの上に網を敷き黒千代香をとろ火で加熱
(練炭でもok)
4.40度前後まで温めたら火から下ろす
5.ふたを押さえながら黒千代香を軽くゆすり混ぜ合わせ完成
黒千代香は直接火にかけられないタイプの物もあるので、その場合には別の容器で前割りした焼酎を燗を付けましょう。前割りしているため飲みやすいので、焼酎の燗未経験の人にもおすすめです。
生(き)、ストレート
ストレートのこと。生ともいう。生(き)とは焼酎のストレートのこと。水や氷・炭酸で割ることなくそのままで飲むことを言います。
宮崎の酒造メーカーの多くが20度の焼酎を販売していますが、これには戦後密造業者の本拠地が宮崎だったことが関係しています。密造業者への対抗措置として国が20度焼酎の醸造許可を出し、税金が安く質の良い20度焼酎を普及させることで密造業者を衰退させた経緯もあり、宮崎の地元民にも20度の生用焼酎が愛されています。
乙ハイ
本格焼酎を炭酸で割る乙ハイは、その名の通り乙類焼酎である本格焼酎を炭酸で割る方法。炭酸割りの本格焼酎版です。
乙ハイの作り方は、氷を入れたグラスに本格焼酎1:炭酸1の割合で割るだけのシンプルさ、炭酸を入れることでさわやかさが増すため本格焼酎が苦手、あまり本格焼酎を飲まない人にもおススメな飲み方です。
甲類焼酎の美味しい飲み方
甲類焼酎は何度も蒸留を繰り返す「連続式蒸留」で仕上げているため、クセがなくさまざまなスタイルで飲めるのが甲類焼酎の特徴です。
そこで定番から少々変わった飲み方までをご紹介します。
サワー
サワーはスピリッツ類を炭酸で割る飲み方。サワーは日本語で「酸っぱい」を意味し、英語の「sour(サワー)」が語源となっています。
本来ではスピリッツと柑橘果汁・炭酸を加えたものを指していましたが、現在では甲類焼酎に果汁やリキュール・炭酸で割ったものをサワーと呼んでいます。
作り方は炭酸割りと同じで、氷を入れたグラスに焼酎とお好みの炭酸水や果汁などを縁にそって注ぎ、マドラーで軽く1回混ぜれば完成です。
チューハイ
チューハイは焼酎とハイボールの言葉を合わせたものが発祥です。焼酎に炭酸と果汁などで割ったものです。チューハイとサワーの違いは、現在ではほとんど同じものと扱われています。
果汁やカクテルに使うリキュール、コーラなどの炭酸でそのまま割っても美味しく飲めるため、自分好みのチューハイが作れますし、缶チューハイの普及で手軽に飲めるお酒として定番化しています。
チューハイの作り方は炭酸割り・サワーとほぼ同じで、グラスに氷を入れ焼酎と好みの果汁・炭酸を注ぎ1回だけ軽く混ぜます。
お茶割り
お茶割りの定番はウーロン割り(ウーロンハイ)、緑茶割り(緑茶ハイ)、ちょっと変わったお茶ならジャスミン割り・玄米茶・紅茶など、焼酎のお茶割りはバラエティ豊かです。
缶入りウーロン茶や緑茶などのお茶のペットボトルが普及し手軽に買えるようになり、身近になり手軽さが増したこと、お茶の持ち味であるすっきりとした味わいも人気の秘密なのでしょう。
グラスに氷を入れ焼酎を注ぎマドラーで混ぜた後、冷えたお茶入れ混ぜます。焼酎1割:お茶2割を作る目安にして下さいね。
ジュース割り
ジュース割りは果汁なら何でも割って飲めるため、ご家庭では緑茶割りに次いで手軽な飲み方のひとつ。
オレンジやトマトジュースの他、コーラやサイダー・カルピス・オロナミンCなど、ロックや水割りえ焼酎を飲むのが苦手な人でも、甘みや氷の冷たさ、炭酸の刺激があるため飲みやすく、焼酎初心者でも飲みやすいです。
グラスの中に氷を入れ、お好きな量の甲類焼酎とジュース(炭酸)を入れ完成。焼酎4割:ジュース6割を目安に作るのがおススメですよ。
コーヒー割り
焼酎のコーヒー割りは最近人気の飲み方です。コーヒーはアルコールとの相性が良く、コーヒーのコクと甲類焼酎のクセのなさが絶妙にマッチします。
特に合うのは深入りコーヒー。
作り方はいたってシンプル。おススメの作り方は、密閉できる瓶に甲類焼酎とコーヒー豆を入れ、常温で3日~1週間付け込むだけです。
コーヒー豆を付け込む場合、焼酎100mlにつきコーヒー豆10gが目安。出来上がった焼酎はフィルターなどでこした後、ロックや燗・ソーダ割りなどで楽しみましょう。
もっと手軽に楽しみたい場合には、インスタントコーヒーで作るなら焼酎100mlにインスタント5gを溶かして24時間置き、フィルターでこしてから飲んで下さいね。
牛乳割り
牛乳と甲類焼酎の組み合わせはミスマッチのような気がしますが、意外なことに相性ばっちり!
牛乳のまろやかあと甘み、シロップやはちみつなどを入れても美味しいです。
焼酎1割:牛乳2割を目安にするのがおススメです。
梅干し割り
梅干しの焼酎割りは一般的な飲み物ですが、梅干しは胃腸の粘膜を保護する効果があるため二日酔いになりにくく、甲類焼酎は蒸留酒なため糖質ゼロ。
梅干しの酸味が焼酎のアルコール臭を軽くしてくれるため、焼酎初心者はもちろん健康に気を使っている人にもおススメな飲み方です。
さっぱりと楽しみたいなら水割り、梅干しの香りが欲しいなら70度のお湯を入れ楽しむのもおススメです。基本的には水割りやお湯割りに梅干しをトッピングする作り方で手軽に楽しめますよ。
しょうが割り
しょうがには殺菌力と免疫力、そして血行を促進する「ジンゲロール」があるため、寒い日に焼酎を楽しむにはピッタリ。
焼酎のお湯割り(水割り・ロック)にしょうがの絞り汁やチューブのしょうがを入れいただきます。
甘いのがお好みならはちみつやシロップを入れても美味しいですよ。
まとめ
甲類焼酎・本格焼酎には多種多様な飲み方がありますよね。なかには思いもよらないアレンジ法までありましたが、これを機に自分に合う焼酎割りの作り方を見つけ、甲類焼酎・本格焼酎を楽しみましょう。