イギリスジンの解説 ジンってどんなお酒 本場イギリスジンのおすすめ9選

 

「ジンって、そもそもどんなお酒?」

「ジンはたくさん種類がありすぎてよくわからない…」

「ジンはどう選べばいいの?」

と感じている方もいるのではないでしょうか。

美味しいジンを知るには、イギリスのジンを理解することが一つの早道となります。

と言いますと「イギリスはウイスキーの国じゃない?」と思わる人もいるのではないでしょうか。

今回は、そのイギリスで、どうしてジンが根強い人気で今もブレイクしているのかをわかりやすく説明していきますね。

そして、イギリスジンの魅力とおすすめな9種をご紹介します。ぜひお気に入りを見つけて自宅でも楽しみましょう!

イギリスがジンの世界的キーマンな存在

チャーチル首相銅像

ジンが有名になるきっかけは17世紀のイギリスにあります。

しかし、イギリス生まれのお酒かというと、そうでもないのです。歴史的なところからみると、ジンが生まれたのは11世紀のイタリアだとも17世紀のオランダともされています。

ジンをイギリスに持ち込んだのは、ウィリアム3世。1689年、オランダからイギリスに国王として迎えられたときです。

ジンが本格的に名をあげたのは20世紀になってからです。ウィンストン・チャーチル(イギリス第61・63代首相[1874-1965])がエクストラ・ドライ・マティーニを愛飲したことから、ジンはカクテルベースとしても知名度を上げました。マティーニなどカクテルの作り方はこちらをご覧ください。

ジンはまたたくまに上流階級の間で広がり、不動の地位を築きます。ジンを有名にしたキーマンはイギリスの人々だったというわけです。

2018年にはジン市場がウイスキー市場を上回る

21世紀に入ってからのイギリスでは、ジンの蒸留所が一気に増えました。今やその数、450以上!

イギリスはもともとスコッチウイスキーの本場です。

しかし、ジンの人気はすさまじく2018年には、ウイスキー市場を上回り今なお快進撃を続けています。

カクテルベースとして人気のジンですが、イギリスでこれほどまでに人気になったのには2つの理由があります。

クラフトジンの市場が成長

今世紀に入り、イギリスでジンの蒸留所が一気に増えた理由の1つに「シップスミス蒸留所」の話題があります。

シップススミス蒸留所の人気の秘密

  1. 昔ながらの蒸留器を復活させる
  2. 伝統的な手法と材料で製造
  3. 小規模で職人が丁寧に手掛ける

ロンドンにあるシップスミス蒸留所では、2008年に銅製の蒸留器を稼働してジンの蒸留を始めました。これが大ヒットするクラフト・ジンのきっかけになります。

18世紀〜19世紀にかけて人々に親しまれたジンは、さまざまな規制から一度は表舞台から姿を消しました。これを200年ぶりに復活させたのが、シップスミスです。

シップスミスでは200年前と同じように、伝統的な手法と材料でジンを製造しています。これがきっかけで小規模のジンの蒸留所が誕生していきます。

ちなみにクラフト・ジンのクラフトとは、「職人・工芸」という意味です。クラフト・ジンは、小規模な蒸留所による「職人が作るジン」といったところでしょうか。小規模ならではの、こだわりの1本が造られています。

世界的なウイスキーの原酒不足

イギリスはウイスキーの本場であるとご紹介しました。しかし、そのウイスキーの原酒が不足する事態が起きたことも、ジンにとっては追い風となりました。

ウイスキーが足りないなら造ればいいのに…と思われるかもしれませんね。しかし、ウイスキーは蒸留してから樽で熟成させるため、時間がかかるのです。

特にモルトウイスキーは大量生産ができません。そのため、比較的手に届きやすい存在となったジンに注目が集まりました。

ジンは数々のボタニカル(ハーブ・フルーツ・スパイス)で香りづけされたお酒。ウイスキーとは一味違った良さもまた見直されたのです。

ボタニカルについて詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

ジンの代表的なボタニカル12種類を紹介

イギリスの4種類のジンの特長

イギリスには主に4種類のジンがあります。

4種類のジン

  • ドライ・ジン(ロンドン・ジン)
  • オールドトム・ジン
  • プリマス・ジン
  • コンパウンド・ジン

    4つのジンの特長についてみていきましょう。

    ドライ・ジン(ロンドン・ジン)

    ドライジン

    ドライ・ジンはなかでも最もスタンダードなジン。ロンドン生まれということから、ロンドン・ジンと呼ばれることもあります。

    特長は、純度が高く、雑味が少ないところ。ジュニパー・ベリーや柑橘系のさわやかな香りが魅力で、カクテルベースとして世界中で愛されているジンです。

    銘柄がたくさんあるジンですが、中でも特に手に取りやすいジンといったらよいでしょうか。見かけるジンの中で最も多いのがこのドライ・ジンです。

    オールド・トム・ジン

    オールド・トム・ジンは、ドライ・ジンより古い歴史を持つジン。他と比べると甘口なのが特長です。

    蒸留の技術が今より発達していなかった時代のジンには雑味がありました。そのため砂糖やサトウキビ由来のスピリッツを加えて飲みやすくしたのがはじまりです。

    現在はドライ・ジンに2%ほどの砂糖を加えて甘口に仕上げています。古きよき時代の風合いを再現しているといったらよいでしょうか。

    オールド・トム・ジンは甘口のカクテルとの相性が抜群です。

    プリマス・ジン

    プリマス・ジンは、18世紀にイングランドのプリマス港で造られ始めたジン。香りが強く、ほのかに甘味があるのが特長です。

    プリマスはイギリス海軍の軍港で、そこで造られるプリマス・ジンは海軍御用達のお酒でした。当時は薬用として配給されていましたが、そこに目をつけたのがギムレット軍医。

    ジンにライムを混ぜて飲む方法を考えたのだそうです。これがカクテル「ギムレット」のはじまりだとか。のちに「ドライ・マティーニ」のオリジナルレシピとしても有名になります。

    コンパウンド・ジン

    コンパウンド・ジンは別名バスタブジンとも呼ばれるジン。ボタニカルの風味をよりはっきりと味わえるのが特長です。

    コンパウンド・ジンは、ほかのジンとは造られ方が違います。通常ジンは一度蒸留したあとに、ボタニカルの香りづけで再蒸留します。

    しかし、コンパウンド・ジンでは再蒸留を行いません。一度蒸留したものにボタニカルを浸け砂糖などを加える方法で造られます。

    昔はバスタブでボタニカルを浸ける作業を行うことがあったため、バスタブジンという異名があるのだそう。バスタブをつかってお酒の香りづけをするなんて、おもしろいですね。よりシンプルな製法で造られているジンともいえそうです。

    イギリスのおすすめジンの選び方|種類で選ぶ

    ここからはおすすめのジンをご紹介していきます。イギリスのジンはかなり多くの種類が揃っているため、自分好みのジンに出会えること間違いなしです!

    味の違いを感じてほしいので、種類ごとでジンを紹介していきますね。

    タンカレー ロンドン ドライ ジン 47.3度

    タンカレー

    タンカレー ロンドン ドライジン 47.3度 

    ¥1,999 
    (2022年11月18日での価格)

    3.9 out of 5 stars (3.9 / 5) [お酒のソムリエ編集部評価]
    生産地 イギリス 甘辛度 やや辛口
    タイプ ドライ・ジン 味わい やや淡麗
    原料 ジュニパーベリー等 香り やや華やか
    おすすめの飲み方 ジントニック、ジンバック 相性のいい料理 シーザーサラダ、甘鯛の塩焼き

    「タンカレー」は、1830年のロンドンのブルームズバリーに創業したのが始まりです。

    タンカレーの蒸留の回数はなんと4回。クリアでキレのある味わいと、洗練された香りが特長です。

    ボタニカルの香りが人気で一度飲むとクセになるジンです。

    タンカレーは世界中で愛されているジンの最もスタンダードなブランド。スッキリさわやかにいただきたいときにおすすめです。

    ゴードン ロンドン ドライジン 37.5度

    ゴードンジン

    ゴードン ロンドン ドライジン 37.5度

    ¥1,402 
    (2022年11月18日での価格)

    3.8 out of 5 stars (3.8 / 5) [お酒のソムリエ編集部評価]
    生産地 イギリス 甘辛度 やや辛口
    タイプ ドライ・ジン 味わい やや淡麗
    原料 ジュニパーベリー等 香り やや華やか
    おすすめの飲み方 ジンライム、ジントニック 相性のいい料理 餃子、チンゲン菜

    「ゴードン」の始まりは1769年、アレクサンダー・ゴードンがロンドンのクラーケンウェル地区に蒸留所を構えたところからです。

    ゴードンはジンにふさわしい高品質のジュニパーベリーをふんだんに使用する製法を生み出しました。バランスのとれた豊かな香りとスッキリとした味わいが特長です。

    ジントニックの生みの親とは、どのような味わいなのでしょうか。トニックウォーターを使った甘味を感じるジントニックは、初心者にもおすすめです。

    サントリー ビーフィーター ジン40度(ドライ・ジン)

    ビーフィータージン

    サントリー ビーフィーター ジン40度(ドライ・ジン)

    ¥1,336 
    (2022年11月18日での価格)

    3.8 out of 5 stars (3.8 / 5) [お酒のソムリエ編集部評価]
    生産地 イギリス 甘辛度 やや辛口
    タイプ ドライ・ジン 味わい やや淡麗
    原料 ジュニパーベリー等 香り やや華やか
    おすすめの飲み方 ジンフィズ、オレンジブロッサム 相性のいい料理 肉じゃが、ナムル

    「ビーフィーター」はイギリスジンの中でも今でもロンドン市内で蒸留されているジンです。

    ビーフィーターも、頑固に作り方を引き継いでいます。厳選されたボタニカルは、ジュニパーベリーをはじめとする9種類。

    なかでもレモンピール・セビルオレンジピールがキーになっているそう。柑橘のさわやかな香りとキリリとした飲み心地が特長です。

    ビーフィーターは日本でも見かけることが多い、赤い衛兵マークのジンです。ジンといえば思い浮かぶボトルかもしれません。軽い口当たりは、夏場や気分をスッキリさせたいときにもおすすめです。初心者の方は40度がおすすめです。

    ボンベイ・サファイア(ドライ・ジン)

    ボンベイサファイア

    ボンベイ・サファイア(ドライ・ジン)

    ¥1,695 
    (2022年11月18日での価格)

    3.8 out of 5 stars (3.8 / 5) [お酒のソムリエ編集部評価]
    生産地 イギリス 甘辛度 やや辛口
    タイプ ドライ・ジン 味わい やや淡麗
    原料 ジュニパーベリー等 香り やや華やか
    おすすめの飲み方 ギムレット、ジンバック 相性のいい料理 唐揚げ、もやし炒め

    「ボンベイ・サファイア」はイングランド地方で造られているジン。その特長は、なんといっても個性ある香りと深い味わいです。

    ボンベイ・サファイアに使われるボタニカルは10種類。ジュニパーベリーはもちろん、世界中から厳選されたものだけを使います。

    10種類のボタニカルを特別の製法で香味を印象付けします。

    この製法を用いることで、ボタニカルの香り高いところだけを良いとこ取りできるのです。他のジンとはまた違った複雑な香りが魅力的で、ジンの最高峰という人もいます。一口ずつゆっくりと味わいたいときにおすすめです。

    シップスミス ロンドンドライジン

    シップスミス

    シップスミス ロンドンドライジン

    ¥4,279 
    (2022年11月18日での価格)

    4.1 out of 5 stars (4.1 / 5) [お酒のソムリエ編集部評価]
    生産地 イギリス 甘辛度 やや辛口
    タイプ ドライ・ジン 味わい やや芳醇
    原料 ジュニパーベリー等 香り やや華やか
    おすすめの飲み方 ロック、ジンフィズ 相性のいい料理 チーズ系料理、トマトときゅうりのマリネ


    「シップスミス」は、本文に紹介したイギリスのクラフト・ジンのパイオニアです。ロンドン市内の蒸留所で造られているクラフト・ジンです。

    シップスミスでは、18世紀ごろから伝統的な製法でオリジナルのドライ・ジンを作り出しています。ボタニカルの香りはフレッシュな柑橘系を感じられスパイシーさと酸味を感じる複雑な味わいが特長です。

    さまざまな種類のボタニカルによりグラスに注ぐと一気に香りが広がります。この香りはレモンの酸とジュニパーベリーの香味系のしっかりとした輪郭がわかり複雑なフローラルだとも、ロマンティックだとも例える人もいるほど複雑で、クラフト・ジンならではの魅力が光ります。大手メーカーとは違った職人の技を感じるのにおすすめな1本です。

    ジンクス オールドトムジン

    ジンクスオールド・トム・ジン

    ジンクスオールドトムジン

    ¥3,527 
    (2022年11月18日での価格)

    4 out of 5 stars (4 / 5) [お酒のソムリエ編集部評価]
    生産地 イギリス 甘辛度 やや辛口
    タイプ オールド・トム・ ジン 味わい やや淡麗
    原料 ジュニパーベリー、スウィートオレンジピール 香り やや華やか
    おすすめの飲み方 ジンライム、マティーニ 相性のいい料理 ホイコーロー、なすのチーズ焼き


    「ジンクス オールドトムジン」は、ロンドンで蒸留されたオールド・トム・ジン。刺激的といっていいほどの柑橘が香る飲みやすさが特長です。

    ジュニパーベリーのほかに、スウィートオレンジピール・ビターオレンジピール・レモンピールなどの8種類です。

    他のジンに比べて特にオレンジピール系を多く使用することで、独特の味わいを生んでいます。ボタニカルは秘伝としているメーカーが多い中、全てを明かしても真似されない味わいはクラフト・ジンならではの職人の技かもしれませんね。

    やさしい甘さは初心者にもおすすめです。ボトルの黒猫「ジンクスくん」は置いてあるだけでも可愛いですよ。

    ヘイマンズ オールドトム ジン

    ヘイマンズ・オールド・トム・ ジン

    ヘイマンズ オールドトム ジン

    ¥2,296 
    (2022年11月18日での価格)

    3.9 out of 5 stars (3.9 / 5) [お酒のソムリエ編集部評価]
    生産地 イギリス 甘辛度 やや甘口
    タイプ オールド・トム・ ジン 味わい やや芳醇
    原料 ジュニパーベリー等 香り やや華やか
    おすすめの飲み方 ロック、ジントニック 相性のいい料理 鶏の照り焼き、八宝菜

    「ヘイマンズ オールドトム ジン」は、ジェームズ・バローが1876年にロンドン郊外のヘイマンズ・ディスラリーで創業したブランドです。このジェームズ・バロー、ビーフィーターを生んだ人物なんですよ。

    ドライ・ジンに砂糖やサトウキビ由来のスピリッツを加えているため、ほのかな甘味と独特のまろやかさがあるのが特長です。

    実はドライ・ジンが主流となった1920年代のイギリスでは、オールド・トム・ジンはほとんど造られなくなっていました。今あるのは、世界中のバーテンダーがオールド・トム・ジンの復活をリクエストしたためです。

    ヘイマン・ディスラリーによって1800年のレシピをそのままに復刻したのだそう。初心者にも飲みやすく、ドライ・ジンと比べるのにもおすすめな1本です。

    プリマス・ジン 41.2°

    プリマス・ジン

    プリマス・ジン 41.2°

    ¥1,539 
    (2022年11月18日での価格)

    3.9 out of 5 stars (3.9 / 5) [お酒のソムリエ編集部評価]
    生産地 イギリス 甘辛度 やや甘口
    タイプ プリマス・ ジン 味わい やや芳醇
    原料 ジュニパーベリー、コリアンダー等 香り やや華やか
    おすすめの飲み方 ジンフィズ、ジンバック 相性のいい料理 焼き鳥、じゃがいものガレット

    「プリマス・ジン」はイギリスで最も古い歴史を持つ、プレミアムな一品ともいわれています。

    その特長は、ジュニパーベリーのほか、コリアンダー・カルダモン等。まろやかでしっかりとした味わいとほのかな甘味です。飲み込んだあとにアフターフレーバーが素晴らしいです。

    プリマス・ジンはもともと海軍のあるプリマス港が発祥のジンです。後にイギリス王室海軍とも密接な関係を持ったことから、有名になりました。

    「ドライ・マティーニ」のオリジナルレシピにもなっており、世界中のバーテンダーから愛されています。さまざまな味を知っている上級者にもおすすめな1本です。

    マスター オブ モルト バスタブ ジン

    マスター オブ モルト バスタブ・ジン

    マスター オブ モルト バスタブ ジン

    ¥4,938 
    (2022年11月18日での価格)

    4 out of 5 stars (4 / 5) [お酒のソムリエ編集部評価]
    生産地 イギリス 甘辛度 やや辛口
    タイプ コンパウンド・ジン 味わい やや芳醇
    原料 ジュニパーベリー、シナモン等 香り やや華やか
    おすすめの飲み方 マティーニ、フレンチ75 相性のいい料理 ビーフシチュー、チーズオムレツ

    「マスター オブ モルト バスタブ ジン」はクラフト・ジンです。コンパウンド・ジンならではのボタニカルをスピリッツに浸ける方法で造られます。

    口に含んだ香りは、ジュニパーベリーから始まり、カルダモン・シナモンへと変化します。味わいは、深く芳醇な印象が特長です。

    スッキリというよりは、重めでしっかりと味わいたいという人におすすめな1本。香りの変化と個性的な味わいは、クラフト・ジンならではの魅力です。

    メーカーはその名も「バスタブ ジン」。小規模な蒸留所のため、生産数が少なく希少です。見つけたらぜひ手に入れておきたいですね。

    まとめ

    一口に「ジン」といっても、本場イギリスにはかなりたくさんの種類があります。どれにしようか迷ってしまいますよね。

    ちなみに、イギリス王室のエリザベス女王(エリザベス2世)もジンを楽しんでいるそうです。昼食前にはワインをジンで割ったカクテル(デュポネ)を1杯、ディナーの前にはドライマティーニを1杯が習慣だとか。

    現在のイギリス王室御用達のジンは、「タンカレー」と「ゴードン」なのだそうです。なんだか一気にラグジュアリーな気がしてしまいますが、家で飲むときは気にする必要はありません。

    初心者はたくさん割って、慣れたら少しずつジンの量を増やしていけば大丈夫。どんどん好みを追求しましょう!あなたのお気に入りの1本が見つかりますように。

     

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